釣行記197 北海道 道北でイトウ釣り 完結編  2024.6.26

 5回連続バラしがどうしても頭から離れず、もう一度だけチャンスをいただくことにしました。誰に?
 一回目の条件を整理したり、まっちゃんが(たぶん冗談で)勧めてくれたワイヤーハリスを取り寄せたりと、機会を狙っていました。
 針も一本針でなく、鮎釣りのように2本バリに変えることにしました。

 条件は、天気、気温、水温、水量、濁り具合、時間帯の他、河口に近いので潮の満ち引きも考慮に入れました。
 26.27.28日あたりが潮の満ち引きでは1回目の釣行と近いことが判明し、候補を決めていきました。
 天気はやっと晴れが続くようですが、雨がかなり降ったようで水かさが増しています。国土交通省のホームページで確認できます。
 そして濁りはたぶん釣れなかった2回目釣行と同じくらいのコーヒー牛乳以上の濁りだと思います。

 ただ、そこの日程を逃すと、なかなか条件がそろわない感じだったので最終的に26.27日に決定。
 天気が回復していたので26日のお昼頃、晴れた日のエサヌカ線と宗谷岬を見に行き、そのあとから27日午前中までねばることにしました。
 ミミズは近くの公園にいるのを発見したので、それを使います。
 
  

 しかし、ここで想定外が3つ。
 一つ目、猿払川の上流で小魚を釣って使うつもりでしたが、数日続いた雨で上流部への道路が通行止めになっていてたどり着けず。
 二つ目、風速が7メートルという予報。釣りできるの?という感じ。
 三つ目、宗谷岬でフォレスターのドアが閉まらなくなってしまいました。なんとかドライバーを使って直りましたが1時間ロス。

 ということで、現場に着いたのは16時になってしまいました。
 水量と濁り具合は釣行一回目の時とかなり似ています。
 風はやはり強かったですが背中からの南西の風だったので釣りはできそうです。
 しかし、こんな時に限ってウグイがなかなか釣れません。
 延べ竿を2本に増やしてなんとか10㎝前後の小さなウグイが16時半頃ようやく一匹釣れました。
 続いて一番大きいドバミミズをつけてぶっ込んどいたリール竿に尺ウグイがかかってきましたが、生きエサにするにはでかすぎてリリース。
 その後どうにか25㎝と20㎝前後のウグイが釣れて3匹確保できました。
 ただ今日、ウグイを使ってしまうと、明日ウグイがつれないときには何もできなくなってしまうので悩みましたが、本日1本だけぶっ込み釣りをすることにしました。

 すると18時頃にかすかに鈴が鳴りました。
 これまではアタリがあったときに強く合わせなかったのですが、それがバレた原因の気がしていたので、タイミングを見計らいちょっと強めに合わせました。
 「かかったかな」という感じでしたが、ぜんぜん動かず。
 変だなと思っていたらいきなり走り出しました。
 ワイヤーハリスなのでハリスは切れることはありませんが、この引きでは2.5号の道糸がやばいです。
 リールを固定しないでラインにテンションをかけますがハンドルがどんどん逆回りしてラインが出て行きます。
 巻くつもりでもびくともしません。
 ここから想像を絶するこんなにも長い戦いが始まるとは夢にも思っていませんでした。。

 少し巻いては出て行き、また巻いては出て行きを繰り返すだけです。
 それがだんだん下流に向かって行っています。
 玉網は手元に用意していましたが、それを取る余裕さえありませんでした。
 魚におつきあいして、水際をどんどん下流に向かって歩かされています。
 時々、いきなり走り出すのでラインのテンションを調節するしかなく全く気が抜けません。
 左手で竿を持っていましたが、疲労がたまってきて肘下の筋肉が痛くなってきました。(今も痛いです)

 200メートルくらい下流に移動させられましたが、岸辺との段差がだんだん高くなってきたのと同時に水辺の水深が深くなっています。
 濁っていて見えないので余計危ないです。
 釣り始めたところは岸近くに芦が生えていたのでウェーダーで立てますが、こちらは無理そうです。
 これでは玉網もないし、岸にひきづり上げることもできないし、川に入ってかかえこむこともできないです。
 かなりの絶望感です。
 魚はまだ水面に姿を見せません。
 ここでもう40分ほど経過していました。

 どうしようもなくなりましたが、それでもあきらめきれません。
 そこで考えたのは、一か八か元いたところまで、魚をだましだまし移動させていくことです。
 やったことはありませんが、鮎の友釣りでおとり鮎を誘導する映像がふと頭に浮かびました。
 やってみるしかないと思い、テンションを調節しながら、カニ歩きで一歩一歩上流に向かって移動していきます。
 はじめは5歩行って2歩戻る位のペースでしたが、だんだん誘導できるようになっきました。
 そして30分くらいで元いた場所に到着。
 ここで気を緩めるとやられますし、玉網を手にした瞬間逃げられたりよくしますので、自分に「慌てるな慌てるな」と言い聞かせながら
 やっと手の届くところまできた玉網を右手ですっとつかみました。
 「よし!」
 
 魚はというと、初日に見た、ごぼっごぼっと水面を揺らしてやっと尾びれが確認できました。
 「でかすぎる」
 「イトウじゃないのか、海の魚が満ち潮で上がってきたのか」
 とちょっと疑いましたが、、もう十分なので、この北海道のイトウ釣りは釣れても釣れなくてもこれでおしまいにすることにしました。
 
 それからまた15分。だんだん相手もつかれてきたのか最初の勢いはなくなってきました。
 そして魚体が一瞬確認できました。
 「斑点がない?サクラマスか?」
 北海道ではサクラマスは海では釣ることができますが川では全面禁漁です。ただかかってしまったのは仕方ありません。
 イトウと同じですぐリリースです。

 ここまで来ると根比べです。
 だんだんと玉網によってきますが、また離れてしまいます。
 そしてとうとううまく玉網に入ってくれました。イトウです!
 「やったー」
 へなへなへなと座り込んでしまいました。その時玉網は折れてしまいました。
 周りはもう薄暗くなってきています。時計を見たら19時25分です。
 85分戦ったことになります。
 大きさは体長86㎝、胴回りは50センチ前後、まるで動く丸太です。
 何枚か写真を撮り、リリースしました。

  頭だけで20センチあります。

 
 
  実際はもっと暗くなっています。

 バラし5回のあと、3回目の釣行でやっと。つり上げることができました。
 これで完結です。もういいです。
 引き上げてフォレスターが目に入ると、目頭が熱くなりました。
 車中泊だの、雪道だの、こんな水たまりのある砂利道だの、よく走ってくれてるなと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 相棒という言葉がほんとぴったりです。

 ルアーとかフライマンからしたら、エサ釣りは邪道と言われると思いますが、イトウを釣るのが目的なので、なんといわれても関係ないです。 
 
 稚内へサクラマス用の針を買いに行ったり、アマゾンでミミズやワイヤーハリスを購入したり、潮汐表や天気予報を確認したり、ミミズの生息場所を探したり、数えるときりがありませんが、その結果、イトウに出会えてほんとによかったです。
 もう、ここにくることもないでしょう。
 釣るまで、川の看板を写真に撮らないと決めていたので、やっと写真を撮ることができました。
 
   


 このイトウ釣り完結編は、自分の釣り人生の中でもこれからもたぶん最大の出来事として記憶されると思います。

 おわり

 PS 今回 釣れたのでいろいろと準備からの成果を書くことができましたが、これがもし釣れなかったらと考えると、どんな内容になったか興味深いです。
   

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